理事長の研究論文が国際雑誌PRD(The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry)2016年7,8月号に掲載されました。

この研究は低侵襲で上顎洞に骨を造成する方法について記載されており、患者さん向けに要約を下記に示します。
上顎の奥歯の部分は骨の厚さが足りないことがあります。奥歯の根の部分の上方には上顎洞という空洞が存在し、蓄膿症で化膿して膿がたまるところでもあります。
もともとこの空洞が大きい場合や、奥歯が歯周病などで周囲の骨が吸収されると、この部分の骨は薄くなります。この場合も骨の厚みによって手術の方法が異なってきます。
【A】骨の厚さが5㎜前後存在する場合は、インプラントを植えるときに上顎洞の底の部分を少し押し上げ、その部分に小骨片を加えてインプラントを植えます。

【B】また、5㎜以下でも最近はこの方法をよく用います。(発表した研究論文要約)
当然この場合はインプラントを同時に埋入することはできません。なぜならば、インプラントと骨の接触面積が少ないので安定した固定が得られず、インプラントと骨が結合しないケースが増加するからです。まずこの方法で上顎洞内に骨造成を行い、骨が再生された6か月後にインプラントを埋入します。この方法は側方からの上顎洞底挙上術に比べ、患者さんの費用や手術侵襲を軽減できる利点があります。


15部位の術前と術後のCT比較像
