インプラントのメンテナンスの重要性

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メンテナンスの重要性

インプラントを失ってしまうケースの約2/3はインプラント周囲炎によるものです。多くの患者さんは歯周病により歯を失ったケースが多いので、もともと歯周病になりやすい体質を持っていると考えてもらう必要があります。ですから治療前より徹底したブラッシングが重要になってきます。日々の歯ブラシはいうまでもなく、歯と歯の間の歯垢(プラーク)を取るためには歯間ブラシ、フロスも十分に行う必要があります。
また、インプラント治療を受けた患者さんの多くは歯槽提がかなり吸収しているので、歯ブラシを歯肉近くまで届けることはかなり難しくなる状態も多々あり、そのような状態では音波歯ブラシが非常に効果があり有用と考えます。なかには音波歯ブラシの振動が気になり使用したくないと言う患者さんもいますが、長期にお口の健康を保つためには必要なことなので慣れてもらうことが大切です。かく言う私もこの振動は苦手だったのですが、意識的に使用しているうちに慣れてきたので問題ないと思います。
次に重要なのは定期検診です。この検診では歯およびインプラント周囲組織(歯肉や骨など)の検査を行い健康な状態なのか炎症を起こしているかなどのチェックを行います。また、この段階で歯垢(プラーク)の付着状態を確認し、しっかり歯ブラシが出来ているのか細菌の取り残しが多いか少ないかをチェックします。
歯を失いインプラント治療等をした状態では、歯ブラシやフロスが届きにくく磨き残しが結構あるのが事実です。この段階で磨き残しの部分を確認してもらい、どのように歯ブラシを当てればこの歯垢が除去できるのか担当衛生士が指導し、実際に歯ブラシを当ててもらい除去できるのを確認してもらいます。このような指導と実践により、患者さん自身が行う歯ブラシも少しずつ確実なものになっていきます。
先ほどの歯周組織のチェックで問題ない患者さんは、衛生士が歯の面についた汚れや細菌を特殊な装置でクリーニングし細菌が付着していない状態まで磨き上げます。この作業により頑固な細菌の巣も取り除くことが出来るので歯やインプラント周囲組織の健康が保たれるわけです。歯周組織のチェックで炎症を起こしている場合は、もう一度歯石を取ったりする必要が出てきます。
このように定期健診を行うことで、歯周組織に炎症等の問題が生じた場合は早めに対応することが出来ます。また、専門家の衛生士がクリーニングすることで細菌の蓄積を抑え、歯ブラシ指導により患者さん自身が日頃から細菌を除去できる環境づくりが可能になります。
この定期健診を怠ると多くの時間とお金をつぎ込んで良くした健口状態があっという間に崩壊してしまうケースがいくつかあり、その姿を目の当たりにしている我々は、この定期健診の重要性を改めて訴えたいと思います。